映画と、本と、時々、哲学

お勧めの映画・本の感想やレビューを中心にのんびり綴っていくつもりです。

FOR INTELLECTUAL CURIOSITY

リンカーン弁護士(THE LINCORN LAWYER)

社会の維持に不可欠な必要悪を描く

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皆さんこんにちは。少し時間が空いての更新となりました。
入社日が刻一刻と迫るとともに、2017年ももう3分の1が過ぎようとしていると考えると
時間が過ぎるのって本当に早いなぁと、何とも言えない気持ちになります。
社会人になるともっと早く感じるとも言いますし、
気づいたらもう30代目前、なんてことにもなるのでしょうか。
うーん、時間は大切にしなくては。

映画はこの前置きとは何の関係もありません。ごめんなさい。

邦題:リンカーン弁護士
原題:THE LINCORN LAWYER
監督:ブラッド・ファーマン
制作:2011年、アメリカ
メインキャスト:マシュー・マコノヒー, マリサ・トメイ
        ライアン・フィリップ, ジョシュ・ルーカス

あらすじ、行っちゃいます。

  •  弁護士、ミック・ハラー(マシュー・マコノヒー)は高級車リンカーン
     乗り回し、けっこうな悪人でも華麗に弁護するやり手弁護士。
  • そんな彼のもとに金持ちの息子ルイス(ライアン・フィリップ)を弁護して
    多額の報酬が獲得できるという美味しい話が舞い込む。
  • 無罪を主張するルイスをどことなく信じ切れないミック。
    身辺調査から過去の事件にも関係する驚きの事実が明らかになり。。。

自分の心が放つ「正義」の声に従え

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この映画、まず二つ、皆様も誤解しそうな点があるのですが、
リンカーンは車種のことで、奴隷解放宣言で有名な米大統領は一切関係ない。
・法廷バトルはそんなに見応えがない。

上記のような映画を想像された方が実際に鑑賞すると驚いてしまうと思うので
まず最初に説明しておきました。

さて、この映画の主演は2014年のアカデミー賞で6部門にノミネートされた
「ダラス・バイヤーズ・クラブ」でお馴染み、マシュー・マコノヒー

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同映画ではジャンキーなカウボーイが懸命に生きていく姿を熱演していました。
ちょっと風変わりというか、癖のある役が板につく名優です。
中でも、サイコパス映画として名高い「キラー・スナイパー」での演技は脱帽。
この人、役とか関係なく本当に少しおかしいんじゃないかと
考えてしまうくらいぴったりハマっています。
キラー・スナイパー↓↓↓は少しショッキングな内容なのでご注意を

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さて、本旨である「リンカーン弁護士」の紹介ですが、
なんでしょう、弁護士ってよっぽどの人格者でないと
なってはいけない職業なんだなぁと感じました。
というのも、刑事事件って基本的に世論も報道も事件の被害者に同情的ななか、
自分の信念を拠り所にして容疑者を守らないといけないじゃないですか。
これって本当にしんどいことだと思うんですよね。
凶悪犯罪者やスパイなんかを弁護しようものなら被告人と罵られ、
自分や家族にまで命の危険が及んでしまう。
それでもなお、国から与えられた自分の「仕事」に対して忠実でいられるか。
この映画はそんな問いを投げかけられ、自分の信念が試される名画だと思います。
似たような映画にトム・ハンクス主演の「ブリッジ・オブ・スパイ」がありますが、
私はこちらのほうが、主役の葛藤がわかりやすく、好きですね。
後、「ブリッジ・オブ・スパイ」の主役はとにかくいい人すぎて、
何だか面白みがないのも、作品としてはあまり好きになれませんでした。
あれはあれで、実話に基づいた感動する話なんですけどね。

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あまりストーリーを明かすのが好きじゃないので伏せながらになりますが、
この映画の見どころは、どんな悪人でも弁護してきたミックが
人間としての正義と自らのこれまでの信念との間で葛藤するところ。
依頼人であるルイスのまさかの過去が明らかになり、
それが原因で過去に弁護していた依頼人の冤罪の可能性がちらつきます。
犯罪への関与を否定し続ける依頼人に対し、
「状況証拠的に君の犯行は明らかだから正直に認めた方が刑期も短くなる」と
彼の言葉に耳も貸さなかったミック。
そのときのことを思い返し、自らの過ちに気づきます。
しかし、彼の言葉を借りれば、今の自分の依頼人を弁護するのが仕事のはずなのだから
何が何でもそっちに集中すれば良いものを、彼はそうできませんでした。

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そして黒い力を使いながら、真の悪人を追い詰めていく。
この姿が人間臭くてたまりませんでした。
いつものように気軽に弁護していれば莫大な報酬を得て終わり。
更に美味しい話が飛び込んできて、っていう楽園生活だったのに
そうはせず、最終的には自分の正義を貫いた。
例えるなら日本の医療ドラマ、
白い巨塔」なんかが好きな人にはハマる作品だと思っています。

皆さんは自らの心の声に従っているでしょうか?
一時の欲に気を取られ、自分自身を裏切ってはいませんか?
私は自分を裏切らない人間は、他人のことも裏切らないと考えています。
この映画をきっかけとして、皆さんが自分自身に素直になれますように。

SEE YOU SOON.